6. 金目のキャッツ・アイ

キャッツ・アイというのは、宝石の上から光を当てたときに、まるで猫の目(キャッツ・アイ)のように、光の線が現れる現象を指すもので、本来は宝石の名前を表すものではありませんが、ただ「キャッツ・アイ」と言うときには、一般的にクリソベリル・キャッツ・アイを指します。

自然界には、アクアマリンやクォーツ、ジルコン、シリマナイトなど、様々なキャッツ・アイ効果を持つ石がありますが、美しい地色にはっきりとしたラインが出る宝石は、なんと言ってもクリソベリルです。

キャッツ・アイ効果は、光の反射・屈折によるものです。身近なところでは、長い髪の毛に光が当たると、垂直方向に光の輪が出る場合がありますが、これも同じような原理です。
キャッツ・アイ効果が発生する石には、細かく細長いインクルージョンが適度な密度で存在することが必要となります(右:キャッツ・アイ中のインクルージョン)。このインクルージョンの密度が大きいほど、ラインははっきりと出ますが、同時に透明感は失われます。
クリソベリルは、他の宝石に比べ、このインクルージョンが非常に細かく、また適度な密度で存在することがあるため、美しいキャッツ・アイが出るものが多いのです(あくまで「他の石に比べ」です。クリソベリルの中に占める、キャッツ・アイが出る石の割合は非常に少ないです)。

金目のキャッツ・アイ

スリランカでは様々な宝石が採掘されていますが、その中でも特にキャッツ・アイは世界で最高品質のものが採れます。
クリソベリル・キャッツ・アイ(以下キャッツ・アイ)は、キャッツ・アイ効果の出るクリソベリルですので、その地色は、クリソベリル同様、緑色、帯緑黄色、黄色、褐色などです。また、同じクリソベリルに属する、アレキサンドライトにもキャッツ・アイ効果が出ることがありますが、こちらはアレキサンドライト・キャッツ・アイと呼ばれ、非常に高く取引されています。
キャッツ・アイは、明るい金褐色やグリーンの地に、目がはっきりと出るものが上質とされていますが、ごく稀に、通常の白色の目ではなく、金色の目が出るものがあります。これは金目と呼ばれ、非常に高く取引されています。そもそもキャッツ・アイ自体が稀少で、その中でもさらにごく稀にしか存在しないものですので、スリランカに拠点を置き、数々の宝石を扱ってきた弊社でも、取扱量は極めて少ないです。
上の写真は、以前に採掘された、金目のキャッツ・アイです。

近年スリランカでは、キャッツ・アイ自体の採掘量が少なく、金目はもちろんのこと、上質のものがめったに採れないのですが、もしキャッツ・アイを見かける機会がありましたら、是非目の色をチェックしてみて下さい。もしかするとそれは、世にも珍しい、金目のキャッツ・アイかもしれません。

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