宝石の採掘に続き、こちらではその後のカット・研磨につきまして少しご紹介いたします。
原石から宝石をカット(ファセットカットの場合)するにあたっては、大まかに次のような過程を経ます。

  1. カットの方向、シェイプを決める
  2. カット前の準備を行う
  3. 大まかな形を整える(プリフォーム)
  4. ファセット面をつける
  5. ファセット面の仕上げを行う

※これらのカット手順はあくまで一例です。他にも様々な方法や順番、器具があります。

1. カットの方向、シェイプを決める

原石をよく観察し、カットを行う方向やシェイプを決定します。
まずは、キャッツアイやスター、変色性や多色性などの、特殊な要因があるかどうかをチェックします。カットを行い、これらが現れる可能性がある場合には、その特色を最大限に生かすようなカット方法・方向、シェイプを選択します。
また、原石にはインクルージョンやクリヴェージがありますので、どの方向でカットすれば、最も良い条件で、重量を残すことが出来るかを見極めます。石によっては、カットに最適なアクシス(軸)を持つものがありますので、その場合にはアクシスを優先に考えます。
ここで判断を誤ると、カットがどんなに良くとも、照りが出なかったり、暗くなったりしますので、最も重要なポイントとも言えるのですが、同時に最も難しいポイントでもあります。


2. カット前の準備を行う

決定したカット方向・シェイプを元に大まかな形をつくります。
大きなインクルージョンや、深いクリヴェージがある場合には、その部分をペンチやヤットコのようなもので折り取ったり、ダイヤモンドカッター等で不要な部分を切断します。その後、最も目の粗いディスクディスクを使い、徐々に形を整えていきます。

右の動画では、(ダイヤモンドカッターで不要部分を切断後)まずは直接、手で形を整えています。

動画をご覧いただくためには、アドビシステムズ社が配布している Flash Player(バージョン6以上) が必要です。右に動画が表示されていない場合は、こちらのFlash Player ダウンロードサイトよりダウンロードを行って下さい。


3. 大まかな形を整える(プリフォーム)

おおよその形を整えた後、固定用のワックスをバーナーなどで炙って溶かし、ドップドップ(原石を固定するための棒状のもの)に原石を接着します。そしてドップを手に持ち、先ほどよりも、より細かく形を整えていきます。
ここまでの作業を、プリフォームといいます。

右の動画では、ドップに原石を取り付け、手で形を整えています。


4. ファセット面をつける

ドップをファセッターファセッター取り付けドップをファセッターに取り付ける、ファセットをつけていきます。
ファセッターのドップを取り付ける部分は、ちょうどドリルのチャック部分のようになっており、回転させることが出来ます。
取り付け部分の後ろにある歯車状のもので、回転の角度を調整しながらファセット面をつけていきます。ファセッターは、後ろ側を昇降するテーブルに手で固定し、空いた手でテーブルの高さを調整しながら研磨を行います。

右の動画では、カッターが、昇降テーブルにファセッターを固定した後、左手でテーブルの高さを調整しながら研磨を行っています。


5. ファセット面の仕上げを行う

最後は、右の動画でも使われている、ポリシングラップ(ディスク)に研磨パウダーやペーストを載せ、艶を出す仕上げの作業を行います。
パウダーやペーストは、研磨する石や、段階により使い分ける必要がありますが、ダイヤモンドパウダーやセリウムオキサイド(酸化セリウム)、アルミナオキサイド(酸化アルミニウム)などが多く使われます。

この後、仕上げ残しや傷などがないかどうか、ルーペで確認した後、溶剤で固定用のワックスを溶かしてドップから取り外し、完成です。

このページの内容に関するご質問等がございましたら、お問い合わせよりお気軽にお問い合わせ下さい。

このエントリーをはてなブックマークに追加