2. スリランカ宝石事情 ~Gem Paradise~

スリランカは、「宝石の国」と呼ばれるほど、いたる所で宝石が採れます。
人々は一攫千金を夢見て、色々な場所で宝石採掘を行っていますが、その中でも特に注目を浴びているエリアが、ラトゥナプラ近郊にある、この「Gem Paradise」です。
「Gem Paradise(宝石の楽園)」の名の通り、この地域では、非常に巨大な原石が発見されたり、一箇所のピットから大量の宝石が出た事例があります。その中には、なんとこぶし大(!)ほどもあるパパラチアサファイアの原石が採掘されたという話もあります。
今回は、皆様にスリランカの採掘現場の様子や状況を知って頂くにはうってつけの、この場所を少しご紹介いたします。

この地域は、現在では規則に従い正規の採掘が行われていますが、元々は政府の所有下にあった国有地です。色々な人が勝手に住み始め、庭先で宝石採掘を始めたために、已む無く政府が土地を分け与えた場所もあるそうです。

写真の場所は、近年まで国営のFM放送局の敷地として利用されていた所(写真一枚目の中央に、巨大な鉄塔が写っています)なのですが、現在は10m×10m程の、非常に小さな小さな区画に区切られ、所狭しとピット(縦坑)・採掘小屋が並んでいます。
この小さな区画の採掘権は、オークションにかけられ、高い値段で取引されています。採掘権は、一年間の期限付きなので、その短い期間の間に、大きな原石や宝石が多数含まれている層に当たれば大儲けなのですが、全く何も出ないということも多々あります。まさに「ハイリスク・ハイリターン」という言葉がぴったり当てはまります。

「Gem Paradise」のまわりには、ここで一攫千金を成し得て、広大な敷地に豪邸を構えた人々が住んでいますが、鉱夫は、あまり良い環境とは言えない、採掘小屋で寝泊りしています。採掘された土砂は、まさに宝(石)の山ですので、夜間の盗難を防ぐ目的も兼ねています。
夜間の採掘取締り(夜間の宝石採掘は禁止されています)の為、ここには小さな警察の派出所が作られていますが、夜間でも数百人いる鉱夫を数人の警官で完全に把握するのは不可能に近く、実質的には、治安維持程度の役目しか果たしていません。
そしてまた、その警官達も、下を向いて宝石を探しながら見回りをしています。

仏陀の足跡があるという、スリランカの霊峰「スリパーダ」の下には、様々な人々が一攫千金を夢見て宝石を探している、何とも俗っぽい世界が広がっています。

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